2008年06月30日

懐かしの純文学

懐かしの純文学 本の整理をしていたところ、引き出しの奥から、懐かしい小説が2冊・・・。

小林多喜二の「蟹工船」と、
阿部公房の「無関係な死」。

「蟹工船」、最近またブームになっているそうで。
ファンの私としては、うれしい限りです。

海軍保護下のオホーツク海で、蟹を獲って缶詰に加工する「蟹工船」に乗り込んだ下層階級労働者たちの、過酷な現状(最悪な生活環境、お上の搾取、わずかな賃金、懲罰、病気等)が淡々と描かれた、”プロレタリア文学”(=社会主義・共産主義的な革命文学)の代表作です。


初めて読んだ時、あまりの怖さとショックに眠れなかった覚えがあります。
と同時に、
「私って、ホント恵まれてるなぁ。幸せだなぁ」
と強く感じた記憶が。

普段、ボォーっとして、あまり物事を深く考えないノー天気な私が、
「これからは、もっと真面目に生きよう!」
と、たとえ一時的にでも(!?)考えさせられた貴重な作品です。


ちなみに、まだ観ていませんが、映画化もされているそうです。



一方、安部公房の「無関係な死」。

主人公"A"が帰宅すると、部屋には見ず知らずの男の死体が。
「まったく面識のない男なのに、俺が犯人にされちゃぁ困る!」というワケで、死体を消そうと、あれこれ策を労するのですが、結局、次から次へと自分にとって不利な点が出てきて、どんどん追い詰められていってしまう・・・という、ブラックユーモア小説です。

公房の文体は、特に”物の喩え方”が秀逸でユーモアがあるので、エッセイにも面白い作品が多数あります。

東大医学部卒のインテリにして、舞台演出の才能にも恵まれ・・・だけど、決して難しくない。誰もが楽しめるお話が書ける、稀有な作家です。



皆さんにも、愛読書ってありますか?

まだまだ「読書の秋」ではないけれど、天気がくずつきやすいこの時期、お気に入りの本を片手に、家でゆっくり過ごすのも、梅雨を乗り切る一つの手だと思います。




それにしても・・・

この2冊、横並びにするとかなりおどろおどろしいですな(笑)






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Posted by つきピン at 21:32 │
この記事へのコメント
おはようございます。

「蟹工船」と「無関係な死」。
全く、全く統一感の無い、読書傾向が素晴しいですね。

好奇心いっぱい、という感じで。
これからも、オススメ本を紹介してくださいな。

全く関係ないのですが、昨晩、
「空港の街」を書いているABYのミーティングがあり
その後、馳星周の「不夜城」の話で盛り上がりました。
何となく、地域性が出ているのが・・・。
20代後半、30代前半の僕らには、ファンが多いみたいです。
Posted by 若旦那 at 2008年07月01日 08:08
若旦那さん>

こんばんは!

かなり好みに偏りはありますが、
ガラに似合わず、純文学大好きな私です。

「不夜城」・・・舞台は歌舞伎町でしたっけ!?
横浜にも、映画にふさわしいスポットがたくさんありますね。

特に、裏社会を描くにはうってつけ(笑)
Posted by つきピン at 2008年07月01日 23:03
お久しぶり~
学生時代にはよく図書館でさぼったっけね~(笑)

『蟹工船』
本屋で平積みされてて不自然に思っていたのだけれど
最近流行りなんだってね~

私最近は同僚に勧められて、今更ながら高村薫読んでまーす。
「レディジョーカー」の後半、物語が破綻するのは
作者が阪神大震災に被災してから書いたからだとか
えらく詳しく先に教えられつつも(笑)
ハードボイルド、楽しんでおります。

古い話好きのつきピンには、青空文庫オススメいたしますよ。
http://www.aozora.gr.jp/


また近いうち、遊びましょー!
Posted by はな at 2008年07月03日 23:19
はなさん>

図書館での思い出・・・懐かしいねぇ。
図書館なのに、みんなでふざけて写真とかも撮ったりしてたね(笑)

「レディジョーカー」は、かなり興味あります!
最近、ハードボイルド読んでないので、そろそろ再開しようかと。
読み終わったら、感想よろしくね♪

青空文庫・・・寝る時間なくなりそうだぞ~。

また近いウチにお食事付き合ってね。
Posted by つきピン at 2008年07月04日 22:32